「水分補給したい」と思うのは、自律神経の指令によるものです


体内の水分量が減れば「喉が渇いた」と感じお水を飲みたくなりますが、このお水を飲むきっかけを生む感覚を引き出しているのは、自律神経です。

そして、自律神経の中枢は脳の一部である間脳にある視床下部というところです。

ここで、血液中のナトリウム濃度(浸透圧)を監視していて、浸透圧が崩れて血液が濃くなると、視床下部は「喉が渇いた」という感覚を生むことで、飲水行動を起こさせるのです。

自律神経は水分補給が必要なタイミングを常に監視しています

自律神経の中枢である視床下部の一部分では、血液の濃度を常に監視しています。

ナトリウムや糖質の量が増え濃度が濃くなると、喉の渇きを自覚させるとともに、細胞内外にある水分を血液に移動させることによって、血液中の水分量や濃さを一定に保とうとしているのです。

これも自律神経の作用によるものです。

「自律神経」がいったいどんな働きをしていて、水分とどんな関係があるか見てみましょう

「ストレスフルな生活をしていて自律神経失調症になった」など、自律神経という言葉は一度は聞いたことがあるでしょうし、最近とみに身近な言葉になってきました。

ところで実際、自律神経とはどのようなもので、身体の中ではどんな働きをしているのでしょうか。

また、身体が水分をほしがる飲水欲求と自律神経には、どのような関係があるのでしょうか。

自律神経の働きと共に、水分補給との関係について見てみましょう。

自律神経とは体を一定に保とうとする、意識とは無関係に作動する神経のことです

人間の体が置かれている環境は、一定ではありません。

服装と外気温の関係で「暑さ」や「寒さ」を感じたり、塩辛いものを食べれば血液中の塩分濃度が高くなったりします。

けれど、体内の環境を一定に保つことで細胞や正常な代謝を行うことができるため、どのように周囲の状況が変化したとしても体内環境を変化させるわけにはいかないのです。

そんな、体内環境の維持のために働いているのが、自律神経です。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」とがあります。

交感神経は、筋肉や心臓にとってはアクセルのように働き、運動時に筋肉の収縮を強くするため、脈拍や血圧を高めます。

副交感神経はこの逆で、脈拍や血圧をおさえ、身体を休ませる方向に作用します。

しかし、内臓の場合は逆になります。

つまり、副交感神経の活動が亢進すると内臓の働きは活発になり、食べ物の消化や吸収が促進されます。

また、肺にある気管を構成する筋肉も副交感神経の作用によって収縮し、細くなります。

喘息の発作が夜間に起こりやすいのは、これが原因とも言われています。

自律神経の中枢では様々なものを監視し、必要に応じてサインを出しています

人の自律神経は、主に脊髄に存在しています。

脊髄の頭に近い部分(脳幹)とお尻に近い部分は副交感神経、それ以外の部分には交感神経があります。

これらは、あるところからの指令に基づき、末梢神経を通じてその指令を伝えたり、体内にある器官や臓器の状況をそこへ伝えたりするための役割を果たしているのです。

そして、その「あるところ」、自律神経の中枢は、「視床下部」です。

人間の体には、体内環境を一定に保つために様々なホルモンを放出する臓器があり、体内環境を監視してその臓器にホルモン放出の指示を出しているのも視床下部です。

ところで、自律神経では体内の水分濃度を監視しています。

「水分量」というよりも「水分濃度」と言ったほうが、正しいのかもしれません。

人間の血液中には様々なものが含まれています。

酸素や二酸化炭素、糖質、アミノ酸や中性脂肪、ナトリウムやカリウムなどの電解質です。

このうち、糖質やアミノ酸、ナトリウムはその濃度によって細胞内外と水分や栄養素などのやり取りをしなければいけないため、視床下部で常に監視されています。

そして、体内のナトリウム濃度や糖質の濃度が一定以上になると視床下部は体内が水分不足に陥ったと判断し、喉が渇いた感覚を与えお水を飲む必要性を表し、水分補給へとつなげるのです。

自律神経による指令を伝えるにも、水分は必要です

視床下部が体内の環境を一定に保つために指令を出していることはお話ししましたが、その方法についてご紹介しましょう。

主なのは、ホルモンを分泌させる臓器(内分泌器)に、ホルモンを放出させることです。

体内の内分泌器にホルモンを放出させているのは、主に脳下垂体から放出される「〇〇ホルモン放出ホルモン」ですが、脳下垂体からそのホルモンを出すよう指示を出しているのが、視床下部なのです。

そして、視床下部からの指令で脳下垂体から放出されたホルモンは、血液にのって標的となる臓器まで達し、その臓器からホルモンが分泌されるのです。

そのため、血液の流れが十分でなければ、脳下垂体からどんなにホルモンが放出されても標的となる臓器に到達することはできないか、長い時間がかかってしまうことになり、体内環境が崩れてしまう危険性もあるのです。

水分補給の必要性、身体でどれほど水分が不足しているかを監視している視床下部にとっては、水分が減ることで体内の状態を維持するためのホルモン放出信号を適切に伝えられないことが、デメリットとなります。

そのため、水分補給を促して血液やリンパ液の流れを維持することは、自律神経の働きを維持し、かつ体内環境の維持のためにも重要なのですね。

水分補給が不足すると自律神経の働きが制限され、体内環境を維持できなくなる可能性があります


自律神経の中枢である視床下部では、血液中の水分濃度を監視して、必要に応じて飲水行動を起こさせるようにしています。

また、血液の流れが滞ってしまうと、血液を通じて体内の変化を監視している視床下部には伝わりにくくり、体を元に戻すために必要なホルモンを内分泌器に放出させるための信号も伝わりにくくなってしまいます。

水分補給は、身体の中の状態を一定に保ち、血液の流れや細胞の代謝を維持するためにも、必要な行動なのです。

自律神経による体の調節機能を果たすためにも水分補給はとても重要なのです

体内にある内分泌器から放出されるホルモンが行っていて、それをコントロールしているのは自律神経の中枢である視床下部です。

そして血液によって監視とホルモン放出の信号を出していますので、水分補給で血流を維持することは大切なのです。