水分代謝は時間ではなく条件によって変化するようです
室温が快適な状態で一定であり、かつ体温が一定で覚せい状態にあり、安静にしているのであれば、水分代謝量は一定に保たれるようです。
ただ、人間は運動する生き物ですし、夜になれば眠りにつきます。
また、日中と朝晩では気温も変化しますので、それによってさらに水分代謝量は変化します。
屋外の気温が変化することを考えれば、時間によって水分代謝は変化するといえますが、それ以外の条件によっても水分代謝は変化しているのです。
目次
水分代謝は時間の条件だけで変化するものではありません
身体から水分が出ていく手段には汗や尿の他に、不感蒸泄があります。
不感蒸泄で代謝される水分量は、体温や室温によって異なります。
もちろん、暑い環境では体温調節のために汗をかくので水分が出ていきます。
また、激しい運動をしているときには尿が作られにくくなるので、汗をかく代わりに尿量は減少します。
体内で起こる水分代謝と周辺条件との関係について見てみましょう
人間の身体から水分が出ていく手段には、尿と汗とがあります。
この水分代謝には、時間的な特徴があるのか、またどのようなタイミングで水分を摂取すればよいのかについて、見てみましょう。
暑熱環境や運動、就寝中などの条件下で水分代謝量は変化します
人間の体温は、一日の中で常に一定という訳ではありません。
自律神経によりコントロールされ、日中に覚醒し夜間に眠っているというサイクルで生活を送っている場合には、日中は体温が高く、逆に夜間は低めになるように設定されています。
日中と夜間での体温の差は、1度程度にもなるといわれています。
夜、眠っている間に体温を下げるために、人は寝汗をかきます。
汗をかき皮膚表面から汗が蒸発する際に気化熱として熱を奪わせることで、体温を下げているのです。
また、人間には不感蒸泄というものもあります。
これは皮膚に潤いを与え、汗とは感じられない程に皮膚表面から分泌される水分のことを注しますが、これも外気温や体温によって変化します。
平熱で室温が28度の時の不感蒸泄量は、体重50kgの人の場合一日で750mlと言われています。
そして、体温が1度上がるごとに15%、気温が30度から1度上がるごとに15~20%増えるといわれています。
人間が過ごす環境は1箇所ではありませんし、外気温や室温も常に一定という訳ではありません。
外気温も日中は高めに推移し、夜間から朝方は低めになっています。
就寝中に寝汗をかくことも考えると、人間の水分代謝は時間によって変化すると考えられるのかもしれません。
ただ、人間は身体を動かします。
運動する、つまり筋肉が活動することによって体内で熱が作られ体温が上昇しますから、これを下げるために汗をかきます。
運動によってかく汗の量は、多い時には1L以上にも及ぶといわれています。
不感蒸泄の1.5倍程度の汗をかくことになります。
現代では夜間に仕事をし日中眠っているというサイクルで生活している人もいらっしゃいますし、人間の水分代謝は一部は時間の影響を受けるものの、環境や身体の状態などの条件によって異なるといえるかもしれません。
もう一つの水分代謝、尿も条件によって生成量が変化します
人の体にとって水分が体外へと出ていく方法には、汗や不感蒸泄の他に尿があります。
尿は腎臓で作られていることは言うまでもありませんが、その量も体がどのような条件下にあるかで変化しています。
腎臓で作られ排泄される尿の量は、1時間あたり60mL、一日では1.5L程度になるのですが、これもホルモンや運動をしているか否かで変わってきます。
日中、比較的安静の状態では、積極的に尿は生成されます。
しかし夜間、就寝中では、抗利尿ホルモンであるバソプレッシンが分泌され、尿生成量が著しく減少します。
また、運動しているときにも、尿生成量は減少します。
これは、運動しているときには筋肉に優先的に酸素や栄養素を送る必要性があるために、多くの血液が筋肉に集中します。
すると、脳と筋肉を除く内臓への血の流れが減少するためです。
このように、人間の体の中での水分代謝は、生活サイクルが多様化している現代においては、時間というよりも身体がどのような条件下にあるかで変化するといえるかもしれません。
水分代謝が活発になる前後で水分を摂取することが必要です
このように、人間の体内で起こる水分代謝は、その人が置かれている条件によって異なります。
では、どのようなタイミングで水分を摂取すると良いのでしょうか。
就寝の前後で水分を補給する
就寝中は寝汗をかくことで身体から水分が奪われますから、寝る前と起きた後に水分を必要とします。
眠っている間は尿生成量は抑えられていますので、寝る前に水分を摂取したからと言って、就寝中にトイレで目が覚めるという心配もありません。
コップ一杯程度を目安に、飲むようにしましょう。
運動の前後で水分を補給する
運動中は上がった体温を下げるために大量の汗をかきますから、水分を多く必要とします。
体内が水分不足で脱水の状態になっていると、血液の巡りが悪くなり汗をかくこともできずに、体温調節ができなくなることで熱中症をおこす危険性があります。
水分を必要とする直前に補給するとともに、運動後には失われた水分を補うためにもお水等を飲むようにしましょう。
暑い時期の外出やお風呂の前後でも水分を補給する
汗をかくのは、運動時のみではありませんよね。
真夏の昼間の外出では、大量に汗をかきます。
入浴もまた、暑い環境に身を投じることになります。
通常、環境温度が25度くらいまでは、不感蒸泄も伴って体熱は外へ放出されますが、25度を超えると環境の熱が身体の中へ入り込んできて体温が上がります。
そうなると汗をかくのです。
真夏の昼間や入浴時のお風呂場は、比較的高温です。
汗をかくことが予測されるので、この前後でもお水を飲むようにしましょう。
人間の身体は常に一定ではありません
身体がどのような条件下、あるいは環境にあるかで、水分代謝は変化しますから、「時間帯」よりも身体が置かれている状況によって水分代謝は変化するといえるでしょう。
特に運動時には大量の汗をかきますので、脱水を起こさぬようあらかじめの水分補給が必要になりますし、覚醒中は運動してなくとも細胞でなされている代謝は活発ですから、生成された老廃物を排泄するためにも水分が必要になります。
体内で起こる水分代謝の特徴に合わせて水分を補給しましょう
尿の生成を除けば、人間の水分代謝は人間の活動によって変化しています。
通常よりも多くの水分を必要とするタイミングがありますので、水分を必要とする前と、水分が失われた後とで水分補給を行うようにしましょう。”