風邪のひき始めには体を温める飲み物、避けた方が良いのはカフェイン・炭酸の入った飲み物です

風邪のひき始めに何を飲むかが、体調の回復を左右することがあるといわれています。例えば温かい飲み物や栄養豊富な飲料をとると、風邪のあらゆる症状をやわらげ回復をサポートすることが期待できます。

反対に、風邪のひき始めに控えたほうが良い飲み物をとってしまうと、症状を悪化させることがあるかもしれません。本記事では、風邪の初期症状の緩和・改善におすすめの飲み物と避けたほうが良い飲み物を紹介します。

風邪のひき始めに効果的な飲み物

風邪をひいたと感じたときは、以下の4種類の飲み物を積極的にとりましょう。風邪のひき始めに効果を期待できる飲み物とその理由を解説します。

白湯や温かいお茶

風邪のひき始めには温かい飲み物が特におすすめで、中でも白湯や温かいお茶は水分補給に適しています。おすすめする理由と、風邪のひき始めに飲むメリットを説明します。

温かい飲み物は体を温める

風邪をひくと体内のウイルスを排除するために、体は免疫を活性化し体温を上昇させます。寒気を感じる場合は、体温上昇を助けるために温かい飲み物をとりましょう。

飲み物で体を温めるだけでなく、普段よりも厚着したり毛布を1枚増やしたりして、体を積極的に温めます。

白湯は消化の負担がかからない

白湯とは、お水を一度沸騰させて飲める温度まで冷ました、余分な成分を含まない飲み物です。風邪で体力が低下しているときにも、消化吸収の負担をかけずに水分補給ができます。

そのため、風邪のひき始めには体を温める白湯がおすすめです。暑い時期は冷水などを飲みたくなるかもしれませんが、内臓を温めて代謝を促進するためにも、白湯のほうが適しています。

カフェインレスハーブティーは温める以外のメリットも
白湯は飲みにくいという場合は、カフェインレスのホットハーブティーを飲んでもかまいません。カモミールティーはリラックス効果を期待できるので体調の回復につながるほか、消化機能の改善や安眠に役立ちます。

ジンジャーティーにも同じくリラックス効果があるといわれており、乾燥ジンジャーを使ったジンジャーティーは、血管を広げて体を温める働きが期待されています。ハーブティーは喉に負担をかけずに水分補給ができるため、風邪のときの飲み物に最適です。

ただし、ジンジャーティーは生姜のピリピリした刺激があるため、はちみつなどを入れると飲みやすくなります。

はちみつ入りの飲み物

はちみつは抗菌作用・殺菌作用・さらに喉の炎症をやわらげる効果があるといわれており、はちみつを入れた飲み物は、風邪による喉の痛みや咳の改善に役立ちます。はちみつには潤いを保つ働きがあり、風邪で乾燥しやすい喉の潤いを保って咳を楽にし、リラックスして休養をとりやすくします。

ほかにも、はちみつには疲労回復・腸内環境を整える・傷の治りを促進するなど、風邪からの回復に嬉しい働きも期待できますが、1歳未満の赤ちゃんには食べさせてはいけません。なぜなら、ごくまれにボツリヌス菌の芽胞がはちみつに入っている場合があるからです。

大人であればほぼ影響はありませんが、1歳未満の乳児の未発達な消化器官では腸内細菌が少なく、乳児ボツリヌス症を発症するケースがあります。

ビタミンCを含む飲み物

ビタミンCを含む飲み物も、風邪の症状をやわらげることを期待できます。あらゆるビタミンC含有飲料の中から、風邪のときに飲むと良い飲み物の選び方と注意点を解説します。

ビタミンCに期待される働き

ビタミンCは抗酸化ビタミンの一種といわれ、活性酸素の働きを抑えて免疫作用低下を防ぐ働きを期待されています。粘膜の健康維持をサポートする働きもあるとされ、抵抗力を高めて、風邪の鼻や喉の症状改善にも役立つ可能性があります。

果汁飲料の選び方

果汁飲料の中でもオレンジジュースやレモン水はビタミンCを多く含むといわれ、免疫力アップを期待できる飲み物です。果汁飲料は含有する果汁の割合が異なるため、果汁100%のタイプを選ぶと糖分のとりすぎを防げます。

温めるとさらに働きが増しやすい

例えばレモン水はレモン白湯とも呼ばれ、白湯にレモン汁を加える、またはスライスレモンを浮かべた飲み物は、少量ですがレモンのビタミンCを摂取できます。温かいレモン水は代謝の低下を防ぎ、体温を上昇させるサポートをします。

ビタミンCを含む飲み物を選ぶ注意点

ビタミンCを含む飲み物は酸性度が高く、喉の状態によっては粘膜を刺激し、痛みや炎症が悪化する場合もあります。風邪で喉の痛みがあるときは避けるようにしてください。

経口補水液やスポーツドリンク

風邪で発熱するとたくさん汗をかき、風邪の症状が悪化すると下痢やおう吐する場合があります。体内の水分が普段よりも多く失われるので、こまめに水分補給をして脱水症状を防ぎましょう。

脱水気味になると、体は水分だけでなくナトリウムやカリウムなどのミネラル分も失われるため、経口補水液やスポーツドリンクなどを取り入れ、効率よく補うようにしてください。ミネラル分は体内の水分バランスの調整に役立つので、風邪をひいたときにおすすめです。

ただし、スポーツドリンクには多くの糖分が使われており、人工甘味料で味を調えたものもあります。一部の人工甘味料は有害性を指摘されるものもあるので、購入時は注意が必要です。

避けたほうが良い飲み物

風邪をひいているときは積極的な水分補給が必要ですが、含有成分によっては避けたほうが良い飲み物もあります。風邪のときは控えたほうが良い飲み物を3つ紹介します。

カフェインを含む飲み物

カフェインには利尿作用があるため、体内の水分を排出しやすくします。風邪の症状で失われやすい水分をさらになくし、風邪の症状を悪化させるおそれがあります。

特に下痢やおう吐の症状があるときは、体に必要な水分をより多く外へ出してしまうので、回復するまでカフェインはとらないことです。ただ、カフェインを含む飲み物をとると、覚醒作用により気分がすっきりすることを期待できます。

しかし風邪のときに過剰摂取すると、喉の渇きや痛みがひどくなる場合があるほか、免疫の働きを妨げる可能性があるでしょう。風邪の症状があるときは、カフェインをできるだけ含まない飲み物で水分補給をしてください。

アルコール

肝臓でアルコール代謝を行う過程で、免疫の働きの活性化に必要なグルタチオンを消費するため、風邪の回復の際に高めたい免疫力を低下させる可能性があります。体内の炎症をひどくするおそれもあるので、風邪をひいているときの飲酒は避けるようにしてください。

またアルコールは睡眠の質を悪くし、風邪薬の効き目に支障をきたすケースがあるため、回復を遅くすることがあります。

炭酸飲料や糖分の多い飲み物

炭酸飲料は炭酸が喉を刺激し、喉の痛みを悪化させるおそれがあります。また、精製糖を多量に使った飲み物が多く、血糖値の乱高下を引き起こす可能性があり、体力を必要以上に消耗してしまいます。

中には砂糖の代わりに人工甘味料を使った炭酸飲料もあるため、消化が悪く風邪の症状である下痢や腹痛を悪化させるかもしれません。特に、胃腸の症状があるときは避けるようにしてください。

また、炭酸飲料の中にはカフェインを含む飲み物もあり、気づかないうちに眠りを妨げ、必要な水分を失っているおそれがあります。風邪の治りをよくするためにも、カフェイン入りの炭酸飲料は避けてください。

牛乳

牛乳は粘液の産生と放出をさかんにするといわれており、風邪で鼻づまりやたんのからみがあるときは控えましょう。牛乳は栄養豊富な飲み物ですが、特に脂質の多い製品は消化器官に負担がかかり、下痢を悪化させるおそれがあります。

風邪のひき始めに飲み物を選ぶ際のポイント

風邪のひき始めにとる飲み物の選び方を知っていると、十分な水分補給ができ初期症状の緩和に役立ちます。4つの選び方のポイントを説明します。

冷たい飲み物や刺激の強い飲み物を避ける

冷たい飲み物は、免疫力を高めるための体温上昇の妨げになるので避けましょう。冷たい飲み物を口にすると気管が収縮して咳が出やすくなるので、温かい飲み物を選びます。

カフェインやアルコールを含む飲み物は、体に必要な水分を余計に排出するため風邪をひいたときは避けます。また、アルコールの分解は体に負担がかかるので、風邪の治りを遅くする可能性があるのです。

炭酸飲料も喉への刺激が強く、炎症を悪化させる可能性があるため控えてください。

温かい飲み物を積極的にとる

風邪の治りをよくするには体温上昇も必要なので、温かい飲み物と食べ物を選んでとり、布団を重ねるなど暖かくして十分な睡眠をとります。汗をかくと冷たい飲み物をとりたくなりますが、常温にとどめ、体への負担を軽減しましょう。

電解質を含む飲み物で水分補給する

たくさん汗をかくと水分と共に電解質も失うので、発熱しているときはミネラル分を含む飲み物を適度に飲んでください。飲む点滴といわれる経口補水液とスポーツドリンクはどちらも電解質を含み、吸収率と吸収速度の速い飲み物です。

スポーツドリンクは経口補水液よりも糖分が多く、経口補水液はスポーツドリンクよりも塩分が多いため、塩分などの制限を受けている人は主治医に相談してください。

ビタミンCやはちみつ入りの飲み物を適度にとる

ビタミンCを含む果汁などの入った飲み物は風邪症状の改善を期待できますが、酸味があるので喉が痛いときは控えるようにします。無添加非加熱のはちみつにはビタミンやアミノ酸など豊富な栄養が含まれており、吸収が速いため、風邪で食欲が落ちているときも口にしやすいです。

はちみつは、バクテリア類に対する殺菌効果があり、市販薬よりも咳や風邪症状の改善に役立つことが期待されています。また、ビフィズス菌を増やして腸内環境を整えるといわれるグルコン酸も含んでおり、免疫力アップをサポートします。

(まとめ)

風邪のひき始めには、体を温めて体温上昇を助け、十分な水分と適切な栄養を補給しましょう。体を温めるために温かい飲み物を選び、必要に応じてビタミンCやはちみつを含む飲料をとります。

あわせてカフェイン・アルコール・炭酸の入った飲み物を控える対策をとって風邪の症状をやわらげると、早めの回復を期待できます。対策をとったにも関わらず風邪の症状が長引く場合は、必ず医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。