喉の良い飲み物は緑茶やはちみつ入りの白湯、烏龍茶や牛乳は控えましょう
ただし、喉が痛いときに控えたほうが良い飲み物もあります。この記事では、喉の痛みを緩和するために役立つ喉に良い飲み物と、控えるべき飲み物について紹介します。
それぞれの飲み物の作用を科学的な根拠に基づいて解説しますので、どのような目的で選ぶべきか、この記事を通して正しい知識を身につけてください。
目次
喉が痛くなる原因
喉は空気や食物が触れるため、炎症が起きやすい部位です。炎症が起きると喉に痛みが起こりますが、なぜ炎症が起きるのかその原因を詳しく見ていきましょう。
ウイルスや細菌感染
喉には扁桃と呼ばれるリンパ組織があり、病原菌に対抗するために免疫が働いて、結果的に炎症物質や痛み物質が産生される仕組みがあります。ウイルスや細菌など病原菌が喉から侵入すると、細胞が損傷を受け痛みが起こります。
体が健康であれば、外界から侵入してくる病原菌を排出する働きによって、風邪やインフルエンザを発症することはありません。しかし、疲労やストレスが蓄積していたり、栄養状態が悪かったりすると体の抵抗力が弱くなり、喉に炎症が起こりやすくなります。
乾燥
喉には線毛と呼ばれる組織があり、粘膜で異物をとらえて排出する働きがありますが、喉が乾燥している場合は、外界から侵入してきた異物を排除しにくくなります。その結果、喉に炎症が起きて、痛みを伴うことがあります。
特に注意が必要なのは、口呼吸をしている場合です。寝ている間にいびきをかいていると口呼吸になり、起床時に喉の痛みを感じることがあります。
また空気の乾燥は、冬のように気温が下がると起こりやすくなります。エアコンは室内の水分を室外機から排出し、空気が乾燥しやすいため、冬の暖房にエアコンを使う場合は湿度の低さに注意しましょう。
アレルギー
花粉・ホコリ・ペットの毛などアレルギー物質が喉に付着すると、炎症が起きて痛みを伴うことがあります。アレルギーが原因の際には、イガイガした痛みや痒みを感じるのが特徴です。
また、花粉症などのアレルギー症状で鼻詰まりが起きると口呼吸になり、喉が乾燥し、外界からの異物を排出する働きが低下する原因もあります。そのため、アレルギー症状があり口呼吸になっているときは、風邪やインフルエンザなどの感染症にも注意が必要です。
飲酒・喫煙
喉に刺激が加わると、炎症が起きて痛みを伴うことがあります。アルコール、喫煙、辛い食べ物などの過剰摂取に注意が必要です。
度数の高いアルコールを飲むと、喉が焼けるような症状が起こりますが、これは喉が炎症を起こしている状態です。強いお酒をよく飲む人は、声帯にダメージが及び、かすれ声になることもあります。
タバコの煙は喫煙者本人だけでなく、副流煙により周囲にも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
過度の声の使用
カラオケなどで長時間歌ったときや、声援で大声を出したときは、喉が痛くなったり声がかすれたりすることがあります。一時的な喉の酷使なら休めば回復しますが、喉を酷使する職業の方は、ポリープができることもあるため、注意してください。
喉に良い飲み物・喉の痛みを緩和する飲み物
緑茶
緑茶には、抗菌や抗酸化作用のあるカテキンが豊富に含まれているため、喉に良い飲み物のひとつです。特に風邪やインフルエンザなどの感染症が流行っているときは、積極的に取り入れてみてください。
また、緑茶の抗酸化作用で、喉の痛みの緩和にも効果的です。温かい緑茶をゆっくりと飲むことで、喉周辺の血流が良くなり、喉が潤い、痛みの軽減に役立ちます。
ただし温度が高すぎる緑茶は、逆に喉の粘膜を刺激する可能性があります。喉をいたわるため、適温の緑茶を飲むようにしましょう。
はちみつ入り白湯
はちみつにも、緑茶と同様に抗菌や抗酸化作用があります。通常のはちみつでも構いませんが、より殺菌力の高いはちみつを選びたいときは、抗菌活性成分のメチルグリオキサルが含まれるマヌカはちみつがおすすめです。
喉に違和感が出てきたら、はちみつ入りの白湯で喉をケアすると良いでしょう。喉の痛みや不快感をやわらげる効果が期待できます。
また、はちみつに含まれるアセチルコリンという成分が、副交感神経を優位に働かせるため、リラックスしたいときにもおすすめです。就寝前にはちみつ入り白湯を飲むと安眠に導き、喉の炎症の回復を助けることができます。
ただし、1歳未満の赤ちゃんにはちみつを与えると、乳児ボツリヌス症にかかる恐れがあるため、絶対に与えないでください。
生姜湯
生姜には、ジンゲロールやショウガオールといった成分が含まれています。ジンゲロールは、生姜の辛み成分で、抗酸化作用や抗炎症作用があり、喉の痛みを緩和するために生姜湯がおすすめです。
また、生姜を加熱するとジンゲロールがショウガオールへと変わり、体を温める働きが期待できます。体温が上がると免疫力が高まりやすいため、風邪の引き始めや予防として、生姜湯を取り入れると良いでしょう。
生姜のジンゲロールを取り入れたいときは、飲む直前にすりおろした生姜汁を加えます。ショウガオールを取り入れたいときは、生姜汁をお水に加えて一緒に加熱してください。
カモミールティー
カモミールには、α-ビサボロールやフラボノイドなどの抗菌や抗炎症作用を持つ成分が含まれています。喉が痛いときにカモミールティーを飲むと、喉の粘膜を保護し、痛みを緩和する効果が期待できます。
また、カモミールには、自律神経を整えるアピゲニンという成分が含まれており、リラックスしたいときに有効です。ストレスや緊張があると免疫力低下にもつながりやすいので、就寝前にカモミールティーを飲んで、快適な睡眠のために取り入れてみてください。
喉が痛いときに控えたほうが良い飲み物
烏龍茶
烏龍茶も緑茶と同じようにカテキンを含むお茶類ですが、喉が痛いときには控えることをおすすめします。その理由は、烏龍茶は脂っこい食事をとる際に役立つ飲み物で、喉に必要な油分まで取り除いてしまう可能性があるからです。
そのため、喉を酷使する職業の方は、頻繁に烏龍茶を飲むのは控えたほうが良いでしょう。喉に炎症が起きており痛みを感じるときにも、烏龍茶を控えるのがおすすめです。
牛乳
牛乳を飲むと、喉の周囲に膜ができることがあります。痰が絡んでいるときに牛乳を飲むと、痰の排出がしにくくなる可能性があるため、控えるようにしてください。
また、牛乳以外にも、チーズやヨーグルトなどの乳製品でも、膜ができるように感じる場合があります。普段の生活でも外界からの異物を排出するため痰が出ていますが、その量は多くないため、牛乳を飲んでも気にする必要はなく、むしろ牛乳は健康に良い飲み物です。
しかし、細菌やウイルスが侵入したときは痰の量が多くなるため、痰が切れにくくなりやすい牛乳は控えましょう。牛乳の膜をつくる作用で喉をコーティングするとも言われているため、痰の症状がないときは、喉のケアとして取り入れるのはおすすめです。
柑橘系のジュース
オレンジジュースなど柑橘系のジュースは、酸性に傾いており、喉に刺激を与える可能性があるため、喉が痛いときには避けたほうが良いです。ジュースに含まれる糖分が痰をつくりやすい点でもおすすめできません。
ただし、柑橘系のジュースはビタミンCが豊富で風邪対策にはおすすめです。みかんの皮を乾燥させたものは漢方薬として使用されており、古くから喉に良い食べ物として親しまれてきたため、喉が痛いときはみかんをそのまま食べるのが良いでしょう。
また、100%オレンジジュースを飲んだときや、みかんを食べたときに喉がピリピリしたりイガイガしたりする感覚があるなら、食物アレルギーかもしれません。花粉症を発症している人が柑橘系の食べ物を摂取すると、アレルギー症状を引き起こすことがあります。
炭酸飲料
炭酸飲料のような爽快感のある飲み物は、喉に炎症がある際の刺激になります。喉の痛みを強く感じさせる可能性があるため、控えることをおすすめします。
また、炭酸飲料を飲むとゲップが出やすくなり、胃酸が逆流しやすい点でもおすすめできません。胃酸の逆流は逆流性食道炎を引き起こす可能性があり、喉にも刺激を与える恐れがあるため、注意が必要です。
炭酸がないと物足りないと感じる場合は、微炭酸ジュースや炭酸を少し抜いてから飲む方法を試してみてください。
アルコール
アルコール度数の高い飲み物は、喉に炎症を引き起こす原因となることがあります。ビールや酎ハイのようにそれほどアルコール度数が高くない飲み物でも、利尿作用を促す点で、喉が痛いときには控えるようにしてください。
利尿作用が高い飲み物は、体が脱水になりやすく、喉の乾燥を助長させる可能性があります。喉が痛いときはアルコールを控え、体調が回復してから楽しみましょう。
高温の飲み物
熱すぎる飲み物は、喉がやけどする可能性があります。温かい飲み物自体は血行を良くし、炎症の治りを早くさせる効果が期待できるため、温かい飲み物は適温で飲むのがおすすめです。
喉が痛いときには、常温より少し温かい程度の飲み物が最適です。熱すぎても冷たすぎても喉に刺激を与える可能性があるため、飲み物は常温に近い温度で飲むのが適しています。
(まとめ)喉に良い飲み物、喉の痛みに控えたほうが良い飲み物は?
喉の痛みを感じたら、刺激物を避けて喉をケアしましょう。炎症が起きている状態のため、紹介した喉に優しい飲み物を積極的に取り入れてみてください。
また、のどの痛みを感じたら、うがいや部屋の加湿などの対策も併せて行うことをおすすめします。これらは喉を潤わせるために効果的で、異物を排出する働きを正常に保つ効果があります。
ただし、喉の痛みの症状が長引くときは、自己判断せずに医療機関を受診してください。軽い痛みであれば、紹介したのどにおすすめの飲み物でもケアが可能ですが、症状が悪化しそうなときは受診がおすすめです。