細かく設定されたミネラルウォーターの水質基準

体調不良を招く可能性のある天然水
私たちが普段何気なく使用しているミネラルウォーターですが、それが安全な水として市場に流通するには、数々の水質基準をクリアしている必要があります。

ミネラルウォーターとは、地下からくみ上げた水の中でも特に地層の鉱物を含んだものです。

ここに含まれるミネラル分によって水の風味などの特徴が決まってくるわけですが、その鉱水ならではの成分についても考慮される必要があります。

その成分について細かく規定された水質基準が法律で定められているのです。

厳しい規格で安全を確保

日本が定める水質基準とは、世界各国を見ても非常に厳しいものとなっています。
特に水道水に関してはトップクラスであり、いつも日本の水を飲みなれている私たちが海外に行く際は水に気をつけるように指導されるのもそのためです。

ミネラルウォーターとして販売されるものには、この水道水にほぼ準拠したものか、もしくは別に定められた水質基準をすべてクリアしているか、いずれかの条件が必要になるのです。

つまり、日本における水道水やミネラルウォーターは安全性の高いものであるということです。

日本における水質基準

日本では、水道法および食品衛生法によって水質基準が定められています。
ミネラルウォーターとして販売されるものは、それらの基準を考え合わせたうえでより安全でおいしい水として製造される必要があります。

ミネラルウォーターの分類

食品衛生法での規定によれば、ミネラルウォーターは清涼飲料水に分類されるものとなっています。

清涼飲料水とは水を含めアルコール分がほぼ含まれていないもの、かつ乳製品や乳酸菌飲料以外の飲料全般を指すものです。

その清涼飲料水の一種として特に無加工の鉱水、そして鉱水にミネラル分や炭酸などを添加して成分調整を行ったものを指してミネラルウォーター類と呼ばれます。
ミネラルウォーターとは何となく抱くイメージで、採取した地下水への成分調整を行わないものと考えがちですが、成分の安定や向上を目的としてミネラル分のなどの調整が行われているものも含まれるのです。

水道法と食品衛生法

飲料水においては、大きく2つの水質基準が存在します。

1つは水道水における基準を定めた水道法、そしてあらゆる食品の中の一種として飲料水を見た場合に適用される食品衛生法です。

  • 水道法
    ライフラインとして供給される水道水には、非常に細かい項目にわたって含有成分の基準が規定されています。
    水道水に関しては、水道法によって規定された51項目のチェック内容に関してすべてをクリアしている必要があり、それを順守することで安定した品質と高い水準の安全性が保たれているのです。水道法における基準の中ではカルシウム・マグネシウムといったミネラル分の上限値やph値の制限も記載されていますが、その項目に関してのみ特に規定を設けない基準がミネラルウォーター類に適用されることがあります。
  • 食品衛生法
    一方、水道水としての規定を受けない食品製造用水そしてミネラルウォーター類に関しては、食品衛生法によって水質基準が規定されています。
    飲用として水を用いる場合は食品製造用水もしくはミネラルウォーター類に適用される水質基準をクリアしている必要があります。
    調理に使用する際もしくは清涼飲料水を製造する際のお水は、食品製造用水の基準を満たしていることが最低条件となります。またミネラルウォーター類の中でも、殺菌処理を行ったものと行わないもので基準が異なっています。
  • 水道法と食品衛生法の相違
    同じく飲用もしくは飲料や食品加工などに使用する水について規定されたものですが、水道法での基準項目と食品衛生法に規定された基準項目がそれぞれに存在しているために、混乱が起きがちです。水道法に関しては、もちろんライフラインとして水を供給することが前提となっており、飲用に限らずさまざまな用途に用いるものです。

    その用途において、飲用のみなら問題ないものの、他の目的に使用する際には弊害が起きる可能性があるという物質量も存在するわけです。また近年では、水道水を飲用とするのとは別でボトル入りのミネラルウォーターを利用する習慣が広まったこともあり、水道水と食品としての水との考え方が分けられていると考えることができます。

水道法の方が基準が厳しい

前述のとおり、生活用水として用いる水道水には、飲料であれば問題ない基準値の物質でも他の用途では弊害が起きる可能性などを考慮され、水質基準が規定されています。

その逆、つまり水道水の水質基準が食品としての水の基準を上回るといったことはほぼ存在しません。

これは、水道水を飲用としても用いるためであり、仮に水道水が食品としてのお水に規定された基準量を超えた成分を含有していたとしたら、それは飲めないお水になってしまうのです。

こうした理由から、総じて水道水の基準の方が食品としてのお水の基準よりも厳しく設定されています。
成分の基準の中には、食品としてのお水と比べて水道水では5分の1しか認められていないものもあります。

ミネラルウォーターは食品であり嗜好品

ミネラルウォーターは嗜好品
生活用水の中で、特にミネラルウォーター類として水質基準が設けられているのには、それらがあくまで食品として取り扱われるためという面があります。

ただ単に飲めるというだけではなく、そこに風味や嗜好といった面が加味されるため、ボトル入りのミネラルウォーターが市場に流通していると考えられるのです。

つまり、水以外の清涼飲料水と同様に、ミネラルウォーター類も嗜好品であるという見方ができます。
嗜好品として安全性を維持しながら、それぞれに風味を楽しむことができる水がミネラルウォーター類の位置なのです。

ミネラルウォーターの水質基準で安全・快適

このように、市場に流通しているミネラルウォーターは安全であることはもちろん、より快適においしく飲める水として私たちに提供されています。

そのために規定された水質基準をクリアし、さらにそれぞれの好みで選び分けることができるようになっているため、選択の幅が広がっているわけです。