ミネラルウォーターの中にある微生物の扱い

ミネラルウォーターの微生物
市場で広く販売されているミネラルウォーターは、水道水のように塩素消毒など化学的な処理を行わないものとして製造されています。化学処理が行われた時点でミネラルウォーターには分類されないのです。

また、ミネラルウォーターの中でも殺菌処理を行わないものと加熱殺菌を行うものが存在しており、必ずしも殺菌処理が必要とされているわけではありません。

そこで気になるのは、含まれる微生物などに関する安全性ですが、ミネラルウォーターを製品とするためにはきちんとした基準が設定されています。

採水時点で基準をクリアしていればOK

化学物質で殺菌処理を行わないにしろ、加熱処理で微生物の処理が行えるのであれば、ミネラルウォーターの製造過程としては問題ありません。

また、採水した時点で微生物の基準をクリアしていれば、特に処理が必要ないということにもなります。

つまり、微生物に対する処理に関しては、基準値さえクリアしていればその有無は問わず、その基準値は飲用水としての安全性を十分に満たしているため、心配の必要がないのです。

ミネラルウォーターの微生物基準とは

日本で製造されるミネラルウォーターに関しては、微生物における規定として製造過程における基準と、水質の成分規格によって定められています。

ここで言う微生物とは、一般細菌や大腸菌群などを指し、それらについて基準値を超えないもののみがミネラルウォーターとして販売できるわけです。

日本での製造基準

日本でミネラルウォーターを製造する際には、その過程において基準が設けられています。
そこには、採水する水そのものの衛生状態はもちろんのこと、採水場における環境についても規定されています。

  • 採水する原水について
    ミネラルウォーターの定義として、地下から採水できるものなら何でもよいわけではありません。
    極力自然な方法で採水できることが大前提となり、その上で原水に含まれる細菌等の微生物について一定基準をクリアしていることが求められるのです。
    原水の時点で殺菌処理が必要ないものについては、一般細菌は1mlあたり5以下、大腸菌群などの汚染指標菌に関してはすべて陰性であることが条件です。
    殺菌処理を行う必要があるものでも、原料となるお水の基準は汚染指標菌がすべて陰性であるほか、一般細菌は1mlあたり100以下でなければならないとされているのです。
  • 製造過程についての基準
    ミネラルウォーターの微生物基準において、原水の時点で殺菌処理が必要ないとされたものと殺菌処理を行うものに分けて制定されています。
    殺菌処理をしないものは、基本的に不純物の沈澱やろ過、さらに酸素供給によって微生物の分解を促す曝気と呼ばれる処理以外は行わないまま速やかに容器づめする必要があります。
    加熱殺菌をする場合、容器づめの後に行うか、殺菌したものを速やかに容器づめするかのいずれかになります。
    加熱殺菌の基準は85度の状態で30分行わなければならないとされています。
  • 加熱以外の微生物処理方法
    殺菌処理をほどこされたミネラルウォーターの多くは加熱によって殺菌が行われていますが、その他にも規定された方法があります。
    その方法とは紫外線を照射するもの、オゾンを発生させるもの、そして微細な目のフィルターによるろ過除菌も含まれます。

このいずれの方法に関しても、微生物基準をクリアするのに有効であると証明された方法でなければならず、ただ行えばよいものではありません。

ミネラルウォーターの品質ガイドライン

製造過程における基準としてミネラルウォーターに適用されるもののほか、ミネラルウォーターとして分類されるための品質ガイドラインも存在します。

ここでは、地下水の中でも極力自然な方法で採水したものを大きなくくりでミネラルウォーター類とし、その中でさらに4種類に分類されます。

まず原水の状態から沈澱・ろ過・加熱殺菌しか行っていないものをナチュラルウォーター、その中でも特にミネラル分を含んだ鉱水がナチュラルミネラルウォーターと呼びます。
さらにそこから紫外線やオゾンなどでの殺菌処理、曝気、成分調整などを行ったものがミネラルウォーターとされるのです。

そしてそれ以外の何らかの処理をほどこしたもの、もしくは原水が地下水でないもの全般をボトルドウォーターと呼びます。

海外での微生物基準とは

一方、日本でも販売されている海外製のミネラルウォーターに関しては、日本の基準が適用されません。

特にミネラルウォーターの原産地が多いヨーロッパにおいては、EUで規定された基準が存在し、それに準拠して製造されているのです。

ここでは、細菌等の微生物に関して全く手を加えないことが大前提となっています。
何らかの殺菌処理が加えられた時点でミネラルウォーターの分類から外れてしまうのです。

ただし、成分規格として微生物量は厳しく取り締まられているため、殺菌処理を行わないからといって危険性が高いというわけではないわけです。

微生物処理を行わなくても水質基準で選別される

殺菌処理を行っていなくても安全は保障されている
このように、日本製のミネラルウォーターでも殺菌処理を行ってないものが存在し、ヨーロッパ各国で製造されたものは殺菌処理なしという基準に準拠しています。

しかし、それが成立するのは、販売できる水質基準について細菌などの微生物量についてきちんとしたラインが設けられているためです。
つまり、殺菌処理を行っていないものでも、安全性は保証されているという事もできるのです。

水質基準で厳しく選別されたものだけが私たちの手元に届くというわけです。

基準に準拠したお水は安全で自然に近い

特にミネラルウォーターの魅力としては、なるべく自然に採水されたそのままを味わうことも挙げられます。

できるだけ手を加えないナチュラルなお水を味わえるのは、飲用として問題ない微生物量のもののみが選別されて販売されるためです。
このような過程で安全で自然に近いお水が提供されているということなのです。