おいしい料理はおいしい水選びから
日本ではおコメを炊くことに利用する人もいますが、ウォーターサーバーなどのおいしい水を使って料理をすると味わいが違うと感じられます。
洋の東西にかかわらず、料理と水は深い関わりがあり、それぞれの料理に合った水というのがあります。
水の種類としては軟水と硬水に大きく分けられますが、この性質の差によっては食材の旨みを引き出したり、臭みを取り除いたりする効果も期待できます。
この効果には水の成分のミネラルが大きく関わっているようです。
料理の食材に合った水
軟水には軟水に合った食材、硬水には硬水に合った食材があるため、どちらが優れているということなく、作る料理ごとに使い分けるのがベターです。
口当たりは軟水の方が柔らかく、硬水では若干の苦味を感じることもあると言われていますが、料理に使う場合には含まれているミネラルがそれ自体の味としてではなく、食材に働きかけて味わいを変えるというのです。
軟水と硬水の使い分けで料理をおいしくする
料理をおいしくする軟水と硬水の使い分けは大切です。
お水の使い分けには、その料理の特徴をつかむ必要があります。
その料理の特徴に合った成分のお水を使うことで、食材の味を引き出して本場の味を楽しむことが出来るでしょう。
私たちが何気なくやっていた日常的な料理の工夫にも、実は水の効果を高めるコツが入っていることもあります。
ミネラル分の補給で硬水を使っているという人も、そのミネラルを料理に生かしてみましょう。
また、硬水が向いていない料理ではミネラルが含まない水を使ってみることも大切です。
硬水が向いている料理
硬水が向いている料理は、肉の煮込みやパスタなどです。
肉はそのまま煮込むと臭みが気になったり、硬くなったりします。
しかし、硬水を使って煮込むことで、温められた余分なタンパク質を灰汁(アク)として出しやすくすることができます。
これは灰汁が硬水のカルシウムと結合することで起こり、臭みが消えて柔らかく仕上がります。
これ以外にも、カルシウムは他の成分と結合しやすい性質を持っているため、パスタを茹でる時に硬水を使用するとでんぷん質と結合して、コシのある麺に仕上がります。
でんぷん質を含む炭水化物をベタつかずパラりと仕上げる成分なのです。
日本の水は軟水ですが、水道水でパスタを茹でる時に塩を入れるのも、ミネラルを足して硬水のように変える目的があります。
食卓塩ではなく天然塩を使うと本場の食感が強く引き出されるでしょう。
軟水が向いている料理
軟水が向いている料理は、素材、ダシの旨みや香りなど引き出して味わいとする日本の和食です。
軟水の食材への浸透力と食材からお水への旨み成分の抽出力が影響します。
野菜を柔らかく煮ることができ、そこへ出汁のおいしさを移す繊細な味わいを求める日本料理の醍醐味を引き出します。
また、お米を炊くときにも、軟水であれば水分をたっぷりと米に吸わせることができ、ふっくらと炊き上げることができます。
クセのない軟水を吸った米は味わいだけを残すことができ、でんぷん質が噛むと甘味のある炊き上がりになります。
水分に味が染み出しやすいため、汁ごと楽しめる料理や水を含ませて炊き上げるタイプの和食には軟水が適しているのです。
硬水の地域では
ヨーロッパなどは硬水を日常的に使っている地域となります。
硬水が適している料理もありますが、水を使わない調理法を多く持っています。
野菜は、水を加えずに野菜の水分だけで煮たり、焼いたり蒸したりという調理法が盛んです。
また、肉料理でのオーブン料理やクリーム、油脂を加えたり、スープストックやトマトなどの野菜の水分で煮込んだりすることも多くあります。
つまり、軟水のように薄味で楽しむ煮物のようなものは作らずに、コクや野菜の味で煮込む料理が多いということです。
日本でも洋食はふんだんに取り入れられてきましたが、出汁の微妙な味わいを楽しむ料理は日本食ならではのものなのです。
薄味でも楽しめる日本食は海外でも人気ではありますが、硬水の多いヨーロッパでの和食の再現は水選びで難航することも多いようです。
海外の日本食レストランでの味わいが日本人にとって違うものと感じられる場合には、水の違いが原因なのかも知れません。
食文化は水とともに発展している
硬水と軟水のそれぞれに合う料理の違いというのは、その料理が育った地域の差でもあります。
ヨーロッパなどではミネラル分の高い硬水を普段から使用しており、日本では軟水が使われてきました。
その土地の水源が軟水であれば軟水を人々は使うようになり、それにあった調理法が発展してきたのです。
水道水も水源に左右されており、その傾向は現代でも変わりません。
日本食を多く作る日本人がベースとして使う水を硬水に換えることで、日本食の本当のおいしさを損なう可能性もあるでしょう。
水を換えておいしい料理を
その土地の料理を作るには、その土地に長くから使われてきたお水を選ぶことが大切です。
日本であれば、日本料理に合った軟水を選ぶことでよりおいしい仕上がりが期待できそうです。
洋食やパスタを作る際には、硬水に変えるといつもと違った本場の味わいに近いおいしさを楽しめるかもしれません。