ウォーターサーバーはどちらも経費計上可能ですが、勘定科目は法人と個人事業主で異なります

ウォーターサーバーをオフィスや店舗に導入する際、経費に計上できるか、また勘定科目をどうするかわからない方もいるかもしれません。ウォーターサーバーは法人でも個人事業主でも経費として計上することは可能ですが、計上の仕方が変わります。

どのような違いがあるのか、詳しく説明します。

また、帳簿に付ける際に迷うのが、ウォーターサーバーにかかる費用がどの勘定科目に該当するのかです。勘定科目ごとに分け方を説明しているので、整理しながら参考にしてみてください。

ウォーターサーバー代は「経費計上が可能」

経費とは、事業のために使った費用のことです。ウォーターサーバーが会社の事業のために使用されるのであれば、経費として計上できることになります。

では実際にウォーターサーバー代が経費計上できるのか、個人事業主と法人の場合に分けて見ていきましょう。

法人の場合

会社や事業所におけるウォーターサーバーの使用対象として、まずそこで働く従業員が挙げられます。従業員の仕事効率を上げるためにウォーターサーバーを設置するのであれば勘定科目を福利厚生費とし、経費計上できます。

来客用の飲み物としてウォーターサーバーが使用される場合は、接待交際費として経費計上可能です。また、サーバーをレンタルするならリース料や賃借料、お客様向けのサービスなら販売費、お水は雑費と仕訳できます。

ただし、会計処理の際は費用によって消費税率が異なるため、税率ごとに分けて帳簿記載したほうが良いでしょう。

個人事業主の場合

個人事業主は、会社であっても社員を雇わないで事業主一人で業務を行う形態のことです。そのため、社員のためにウォーターサーバーを設置する目的にはそぐわないでしょう。

しかし、来客時に飲み物を出す目的でウォーターサーバーを設置することは可能です。その際は 接待交際費で経費計上できます。

福利厚生費としては経費計上できないので、個人事業主がウォーターサーバー代を経費計上するなら、仕訳をきちんと行うことが大事です。

ウォーターサーバーの「勘定科目」は使用用途によって異なる

ウォーターサーバーを経費として計上する際、使用用途によって勘定項目が違うので注意が必要です。それぞれどのケースでどの項目に該当するか知っておきましょう。

社員用なら福利厚生費

福利厚生費は、会社が給与以外に雇用している従業員のために使う費用のことです。業務には直接は関係のないことのために使われます。

たとえば勤務時間内の食事の補助や健康診断にかかる費用、社員旅行費用や住宅補助などが当てはまります。社内にウォーターサーバーを設置すれば、従業員がお水を飲んだり、お湯を使ってコーヒーを淹れたりというように、飲料用として使うことが可能です。

ウォーターサーバーが会社にあれば、従業員が飲料を毎日購入するもしくは家から持参する手間や費用がかからなくなります。ただし、ウォーターサーバー設置の場所に注意が必要です。

社長室や特定の人物が使用する部屋のみに設置すれば、そこに出入りしない従業員は使用できなくなります。限られた従業員しか使用できない場所への設置は、福利厚生費には該当しません。

来客用なら接待交際費

接待交際費とは会社と取引のある企業や店舗、個人などをもてなす際にかかる費用のことです。たとえば取引先に食事をごちそうする、お歳暮やお中元を贈るための費用などが交際費に当てはまります。

取引先が来社した際のお茶出し用にと、お湯やお水を使うためにウォーターサーバーを設置すれば、接待交際費として経費計上可能です。ただし、ウォーターサーバーの設置場所に注意が必要です。

従業員用の休憩室や従業員が日常的に自分たちのために使えるような場所に設置すれば、接待交際費には該当しません。また個人事業主であっても、取引先のような業務に関係する相手を招き、もてなすためにウォーターサーバーを設置すれば、経費として計上できます。

店舗使用なら販売費

販売費というのは、企業が商品を販売したり、サービスを提供したりするのにかかる費用のことです。具体的には、業務に従事する従業員の人件費、商品の広告宣伝費用、保管費用や発送費用などが当てはまります。

カフェといった飲食店で、お客さんにお冷というサービスを提供する使用用途でウォーターサーバーを設置した場合は、経費計上が可能です。

ウォーターサーバー本体のリース料や賃借料

リース料というのはリース契約時に、賃借料とはレンタル契約時に支払う費用のことです。リース契約は機械設備をリース会社が購入し、それを借りる契約です。

リース契約とレンタル契約は契約期間の長さが違います。リース契約は中期で一般的に半年から10年程度、レンタルは短期で1日以上からとなっています。

ウォーターサーバーの本体は高額であるため、企業で導入する際は購入せずにリースやレンタルする場合が多いです。サーバー本体をリース契約もしくはレンタル契約で借りている場合、リース代もしくは賃借料を経費として計上できます。

水代は雑費

雑費とは事業における経費を計上する際に、勘定項目に当てはまらないものの費用のことです。また、一時的に費用が必要となった場合も含まれます。

ウォーターサーバーの場合、水ボトル代が雑費として経費計上できます。雑費は費用の内訳がはっきりしないので、できれば雑費以外の勘定項目で計上したほうがわかりやすいでしょう。

水代は消耗品費としても計上できる

消耗品費とは、企業が業務で使う消耗品や消耗性のある資材における出費のことです。さらに購入価格が10万円未満で、使用可能期間が1年未満のものという条件をクリアしているものに限ります。

文房具や印鑑、コピー用紙などの事務用品、ティッシュペーパーやゴミ袋、蛍光灯や社内用のお茶、コーヒーなどの日用品、ほうきや雑巾などの掃除用品、社用車のガソリン代が該当します。ウォーターサーバーでいうと、水ボトル代が消耗品費として経費計上できるでしょう。

⇒ウォーターサーバーの必要な維持費に関する記事はこちら

経費計上する際は「軽減税率制度」や「領収書の保管」に注意

ウォーターサーバーを経費計上する際に注意したいことがあります。正しく計上するため

にも、どのような注意点があるか知っておきましょう。

ランニングコストは税率が異なる

ウォーターサーバー設置、利用にかかる費用としては、サーバー本体をレンタルする場合はサーバーレンタル料、水ボトル代、水ボトル配送料、電気代などが挙げられます。それぞれの費用に関してかかる税率が違ってくるため注意が必要です。

2019年の消費税引き上げに伴い、軽減税率制度が実施されています。軽減税率とは、酒類や外食を除く飲食料品と、定期継続契約が結ばれており、週に2回以上発行される新聞は消費税を8%に軽減するというものです。

これは、国民の生活の経済的負担を軽減させるための制度です。ウォーターサーバーの水ボトル代は軽減税率の対象となるため、8%の消費税が課税となります。

一方、配送料やレンタル料などは軽減税率対象外なため、消費税は10%です。計上する際は、税率ごとに分けると一目でわかり間違えにくいのでオススメです。

領収証は保管する

領収書は物の売買における金銭のやりとりが実際にあったことを証明するものです。会社に税務調査が入った時に、ウォーターサーバーを経費として正しく計上していることを証明するためには、領収書をきちんと保管しておく必要があります。

もし領収書がなければ、経費として認めてもらえない場合があるため気を付けましょう。ウォーターサーバーに関して金銭のやりとりがあった場合、領収書を必ず受け取って保管しておくことをオススメします。

個人事業主は福利厚生費で経費計上できない

ウォーターサーバーを設置した際に、個人事業主でも経費として計上できます。ただし、福利厚生費を勘定項目に使えないので注意が必要です。

個人事業主はあくまでも一人で業務を担っているため、従業員がいません。福利厚生費は会社で働く従業員のために使われる費用であるため、従業員がいない個人事業主の経費計上において、福利厚生費という勘定項目はありえないことになります。

たとえば、個人事業主が家族も使用するためにウォーターサーバー設置しても、家族は従業員ではないので、福利厚生費として該当しません。ただし、個人事業主でも取引先と商談を行うことはあるため、来客用目的の接待交際費として経費計上はできます。

最低契約期間内の解約は違約金が発生する場合もある

ウォーターサーバー本体は高額であるため、レンタルするというケースが多いです。その場合、ウォーターサーバー会社は少なくともこの期間は契約してください、という期間を設定しているところがほとんどです。

もし最低契約期間内に解約することになれば、違約金を請求されることもあります。違約金はウォーターサーバー会社によって異なりますが、数千円から数万円になる場合もあるので注意しましょう。

レンタル契約前に、最低契約期間や違約金、解約の条件などをきちんと確認しておくことが大事です。

オフィスに導入すると「従業員満足度」や「お客様満足度アップ」

ウォーターサーバーを会社に導入すると、いくつかメリットがあります。導入を検討するうえでどのようなメリットがあるか把握しておきましょう。

来客用の飲み物がすぐに出せる

オフィスで急な来客があった場合、飲み物がすぐに出せる環境にないと十分な接待ができません。飲み物のストックがなかったり、お湯を沸かしていたりすると飲み物を出すまで、時間を要してしまうことになるでしょう。

また、従業員が飲み物を買いに行くとなると、業務が滞ってしまいます。しかし、ウォーターサーバーからは冷水と温水がいつでも出てくるため、すぐに飲み物を作ってお客様に出せて効率的です。

従業員満足度が上がる

人の体の7割程度は水分でできているため、1日に約2L以上は水分補給が必要となります。ウォーターサーバーを従業員用として会社に設置しておくことで、従業員が忘れがちな水分補給をこまめにできます。

また、温水も冷水もすぐに使えるので、お湯を沸かさなくてもすぐにコーヒーを作ることも可能です。

毎日ミネラルウォーターを家から持参してくる、もしくは購入しに行く従業員も多いかもしれません。ウォーターサーバーが会社にあれば、持参する手間も省けるうえにお水の購入費用も節約できるため、従業員満足度も向上するでしょう。

節税につながる

ウォーターサーバー導入は節税できるメリットがあります。

ウォーターサーバーは法人の場合、来客用だと接待交際費、従業員用だと福利厚生費の勘定項目で経費として計上できます。また個人事業主も接待交差費で経費計上可能です。

法人や個人事業主は利益を上げると、その分課税額も増えます。ただ、ウォーターサーバーを経費計上することで、法人や個人事業主が納める税金を減らせます。

飲料容器ゴミが減る

ウォーターサーバーでお水をカップに注いで飲むことで、今までペットボトルのお水を買っていた従業員が買わなくなります。その結果、ペットボトルの空容器が減るため、ゴミの量を減らすことが可能です。

ゴミが減れば分別やゴミを出す手間なども省けるので便利なうえに、仕事の効率化も図れるでしょう。また、ゴミの削減は環境保護にもつながります。

災害時の断水に備えられる

ウォーターサーバーは定期的に水ボトルが配送され、ストックされます。そのため、水ボトルを備蓄水として会社に備えておけます。

災害時や断水時の飲料水、生活用水として水ボトルのお水が使用可能です。水ボトルは1年位保管できるため備蓄水にも適しており、横にして積み重ねて保管しておけば場所も取りにくいのでオススメです。

⇒水ボトルが災害時の備蓄として使用できるのか解説した記事はこちら

オフィス用のウォーターサーバーは「お水の種類」や「ボトルサイズ」で選ぶ

会社に設置するウォーターサーバーの選び方を紹介します。ポイントをおさえてより使いやすく、お得なものを選べるようにしましょう。

お水の種類で選ぶ

ウォーターサーバーのお水の種類は、天然水とRO水に分けられます。

  • 天然水

地下水や崖下などから自然に湧き上がる湧水、川床の下に浸透して流れる伏流水、自噴する水温25度未満の鉱泉水といった特定の水源から採水した地下水のことです。

天然水にはミネラルが含まれているものもあります。

  • RO水

RO水は、1000万分の1mmという小さな不純物まで除去できるRO膜という特殊な膜でろ過したお水のことです。

ウォーターサーバーは、ウイルスや細菌、ホコリなどを除去できるため、衛生的で安全なお水を飲めるのでオススメです。ミネラル分は含まれないため、ミネラルが添加されたお水もあります。

機能性やデザインで選ぶ

ウォーターサーバーにはスタイリッシュなタイプ、丸みのある可愛らしいタイプなどさまざまなデザインがあります。またカラーバリエーションも豊富です。

設置場所のインテリアや設置目的に合わせて、馴染みやすいデザイン、カラーを選ぶことが可能です。またウォーターサーバーは機種によって、さまざまな機能が備わっています。

節電も可能な省エネ設計、エコモード付き、音が静かな静音機能、清潔な状態が保てる自動クリーン機能、コーヒーメーカー付きなどの機能があります。使用目的に合った、お得な機能が付いたものを選ぶと効率的です。

水ボトルの量で選ぶ

水ボトルの容量もいくつか種類があります。大体5L~18L位までの容量があります。

オフィスに設置する場合、従業員や来客などの利用者の数もよりますが、家庭用より多めの12L以上の水ボトルがオススメです。あまりに大きいものだと持ち運びが大変ですが、交換回数が減り、備蓄水としても使用できるでしょう。

逆に小さいものは運びやすいですが、交換回数が増えるので手間です。どの程度の容量が適しているか検討してみてください。

料金で選ぶ

ウォーターサーバーにかかる費用は、ウォーターサーバー本体代と水代金、水ボトルの配送料、電気代となっています。サーバーはレンタルする場合が多いため、レンタル料金になるでしょう。

ウォーターサーバー会社によってかかる費用は異なります。水ボトルの配送料が無料になる、省エネ機能付きであるならコストもかなりおさえられる場合もあります。

また、水ボトルの注文ノルマや解約時の違約金なども発生する可能性もあるので、事前の確認が大事です。

メンテナンスのしやすさ

ウォーターサーバーは、内部にお水が循環するため雑菌が繁殖する場合もあり、こまめなメンテナンスが必要です。自動で内部をきれいにしてくれる自動クリーン機能が付いたものであれば、簡単なお手入れで済みます。

ただし、内部のパーツも経年劣化し、汚れが付着する可能性もあるので数か月に1度のウォーターサーバー会社によるメンテナンスが必要です。劣化したパーツの交換を行い、サービスで無料もしくは低価格でやってもらえることが多いです。

⇒ウォーターサーバーの正しい選び方に関する記事はこちら

(まとめ)ウォーターサーバーの勘定科目は?法人と個人事業主で違いがある?

ウォーターサーバーはどちらも経費計上可能ですが、勘定科目は法人と個人事業主で異なります

ウォーターサーバーは、法人でも個人事業主でも経費として計上できます。ただ、個人事業主は福利厚生費として計上できないので注意が必要です。

また、税務調査に備えて領収書は保管しておく、契約前に最低契約期間や違約金について調べておくことも大事です。

ウォーターサーバーの設置で、急な来客対応ができたり従業員満足度が上がったりといくつものメリットがあります。

ウォーターサーバーを選ぶ際はお水の種類や機能性やデザイン、水ボトルの量やコスト、メンテナンスのしやすさなどのポイントをおさえて慎重に選びましょう。