母乳を介したカフェインの影響を最小限に抑えるには、次の授乳まで2時間以上あけましょう
授乳を続けているにも関わらず、カフェインを摂りすぎたときはどうすればよいのでしょうか?この記事では、授乳期にママがカフェインを摂った場合の赤ちゃんへの影響や、授乳期のカフェインの摂り方を解説します。
あわせて授乳中の上手なカフェインの摂り方とカフェインレス、またはノンカフェインの飲み物も紹介します。
目次
授乳中のカフェイン摂取の影響
授乳期のママがカフェインを摂った場合、母乳を通して赤ちゃんが摂ってしまうのか、そして赤ちゃんの健康に影響する恐れがあるのかを紹介します。
母乳を通じてカフェインが赤ちゃんに移行する仕組み
ママがカフェインを摂ると、消化管から吸収されて血液へ移行します。母乳は血液から作られるため、カフェインが一定量含まれた血液を、母乳を介して赤ちゃんも摂ることになります。
具体的な量はママの摂取量の1%程度と言われていますが、赤ちゃんは大人と違ってカフェインの分解・排出能力が未熟なために影響を受けやすいでしょう。
また、カフェインはコーヒーや紅茶などの飲み物以外にも含まれており、知らないうちにコーヒー数杯を超える量のカフェインを摂っている可能性があります。授乳期のママはf普段からカフェイン摂取量に気を付けましょう。
赤ちゃんの睡眠や健康に与える影響
カフェインは、中枢神経を刺激して覚醒作用をもたらすと言われています。コーヒーを飲んだあと気分がすっきりするのは、この働きのためです。
赤ちゃんがカフェインを摂取した場合も同じく、目が覚めたままになってしまい、寝つきが悪く眠りの浅い状態が続きます。眠りたいにも関わらず眠れないので、機嫌が悪く泣き続けることもあります。
眠れないまたは眠りにくい状態が続くと、消化不良や頻脈を引き起こす恐れがあるでしょう。
カフェイン摂取量の目安とタイミング

授乳期のママがカフェインを摂取する場合の、摂取量の目安とタイミングを解説します。コーヒーなどを飲みたいときは、赤ちゃんへの影響を考慮してちょうどよいタイミングを選びましょう。
カフェイン摂取後、授乳までに必要な時間の目安
カフェインの血中濃度は、個人差があるものの摂取後30分~2時間ほどがピークで、その後効果が半減するまでに2~8時間かかると言われています。授乳前にカフェインを摂ると半減するまでの時間がわかりにくいため、授乳後にカフェインを摂取した方が安心です。
カフェインが体内で代謝される仕組み
カフェインが体に入ると肝臓で分解され、主に尿酸に変換されたあと尿から排泄されます。カフェインの代謝は大人で約2~8時間ですが、子供はさらに長い時間が必要です。
ちなみに新生児の場合は、肝臓の酵素が未熟なために65~102時間かかると言われており、母乳に含まれるカフェインはできる限り減らした方が赤ちゃんの睡眠への影響を防げるでしょう。
妊娠期と授乳期で異なる、カフェインの影響と注意点
妊娠中は胎盤を介して、ママから赤ちゃんへ直接カフェインが届くので、成長への影響が懸念されています。なぜならカフェインは、子宮や胎盤の血管を収縮させ赤ちゃんへ送る血液の流れを低下させる恐れがあるからです。
授乳中は妊娠中ほど赤ちゃんへ直接影響を与えにくいですが、母乳を介して間接的にカフェインを摂ります。ママが同じ量のカフェインを摂ったとしても赤ちゃんへの影響の度合いは異なりますが、摂りすぎには注意してください。
授乳前の適切なカフェイン摂取量の目安
授乳中の1日あたりのカフェイン摂取量は300mg以下にすることと、WHOは推奨しています。具体的にはコーヒー2~3杯の量で、妊娠前にコーヒーをよく飲んでいたママは量を控えめにしましょう。
できれば授乳後のカフェイン摂取が望ましいですが、どうしても授乳前にカフェインを摂りたい場合は、可能な限り摂取量を少なくしてください。カフェイン摂取量に問題がないかは、赤ちゃんの反応を見て判断します。
カフェイン摂取のリスクとその回避法

ママからの母乳を通して赤ちゃんがカフェインを摂ったとき、引き起こす可能性のあるリスクとその回避方法を解説します。
カフェインの過剰摂取が赤ちゃんに引き起こす可能性のある問題
カフェインに期待される覚醒作用により、赤ちゃんの寝つきが悪くなると成長に必要な睡眠が十分取れず、機嫌が悪くなったり落ち着きがなくなったりするケースがあります。
カフェインの摂取量が多い時期が長く続くと、赤ちゃんの発育への影響も心配されます。
突然死や発達障害に関連するリスク
過剰にカフェインを摂取したあとでの授乳を繰り返すと、乳幼児突然死症候群(SIDS)を引き起こす恐れがあると言われています。発達障害への影響を指摘する意見もありますが、はっきりした因果関係は確立されていません。
しかしリスクを軽減するために、カフェイン摂取量は1日300mgまでにとどめましょう。
授乳期にカフェイン摂取を最小限に抑える方法
授乳期のママが上手にカフェイン摂取量を抑えるには、習慣的に摂っている飲み物や食べ物を見直すことが大事です。
・デカフェ飲料に切り替える
デカフェ飲料とはカフェイン量を90%以上取り除いたもので、カフェインレス飲料とほぼ同じです。1杯あたりのカフェイン含有量は少量ですが、カフェインを含むため摂りすぎに注意しましょう。
・ハーブティーを取り入れる
授乳期におすすめのハーブティーはカモミールティーです。海外では子供の万能薬とされ、健康に不可欠な飲み物と言われています。
また、産後のイライラをやわらげリラックス作用も期待できる飲み物です。
・カフェインを含む飲み物や食品を控える
授乳期はエナジードリンクなどカフェイン含有量の多い飲み物を避け、カフェインを含むチョコレートなどの食品も控えます。知らないうちにカフェイン摂取量が増えている可能性があるため、ふだん習慣的に摂る飲み物や食べ物のカフェイン量を確認しましょう。
カフェイン過剰摂取時に生じやすい症状・対策

カフェインを過剰に摂った場合に生じやすい症状と、授乳期のママが赤ちゃんへの影響を抑えるために行った方がよい対策を解説します。
カフェイン過剰摂取時に起こりやすい症状
カフェインを摂りすぎると、ママの体に動悸・めまい・不眠などの症状が現れる場合があります。症状に気づいたときは水分を積極的に摂り、気分が悪い場合は安静にしてください。
カリウムやマグネシウムを多く含む食品を摂ると、過剰なカフェインによって使い果たされたカリウムとマグネシウムを補え、体調を整えます。体調がよければ軽く運動すると血行がよくなり、カフェインの排泄に役立ちます。
しかし、症状がひどい場合はすぐに医療機関へ相談し、受診しましょう。
赤ちゃんへの影響を最小限に抑えるために
ママがカフェインを摂りすぎたとき、母乳を介したカフェインの影響を最小限に抑えるには、次の授乳まで2時間以上あけましょう。
その間に水分を多く摂り、食事の機会があれば、バナナやわかめなどカリウムやマグネシウムを多く含む食品を積極的に取り入れます。
カフェインによる体調の変化が落ち着いたあとも、しばらくの間カフェインを控えましょう。赤ちゃんの様子を特によく観察し、ふだんと異なる不機嫌や寝つきの悪さが続いたときは、医師に相談します。
医療機関に相談すべきケース
すぐに医療機関へ相談した方がよい状況とは、ママに強い動機や震え、めまいが起きている場合、赤ちゃんが何をしても泣き止まず、不眠や頻脈の症状が続いているときです。授乳中の体調不良なので、ママは産婦人科を受診しましょう。
授乳中のコーヒーの楽しみ方と注意点

妊娠前からコーヒーを愛飲しており、出産後を楽しみにしていたママは、引き続きコーヒーを控える方がストレスに感じるかもしれません。そこで、授乳中のコーヒーの楽しみ方を説明します。
コーヒーは何杯まで?
コーヒーを毎日楽しみたい場合は、1日1~2杯にとどめましょう。1日のカフェイン摂取量の目安によると3杯までですが、それよりも少ない量を心がけると、食品から摂るカフェイン量も考慮できます。
授乳期に毎日コーヒーを飲みたいときは、カフェインレスコーヒーに替えると赤ちゃんへの影響を心配せず楽しめます。
カフェインレスコーヒーを選ぶときの注意点
カフェインレスコーヒーはカフェインの含有量の少ない、または含まない飲み物ですが、製品によって添加物はさまざまです。カフェインの量だけでなく、添加物の内容も確認し少ない飲み物を選ぶようにしてください。
またノンカフェインをうたう飲み物の中には、メインの原料はカフェインゼロであっても、カフェインを含む材料を加えている場合があります。購入するときは成分を必ず確認するようにしてください。
ストレス管理とカフェイン摂取の工夫
妊娠前のストレス解消法がコーヒーなどカフェインの摂取だった場合、長い育児期間にカフェインを摂らずに乗り越えることはストレスに感じてしまいます。上手にカフェインの摂取量を減らし、授乳期を乗り切りましょう。
授乳期のママの心身の状態に合うハーブティーや、カフェインを控えた温かい飲み物でリラックスを心がけます。適度な運動はストレス解消に役立つため、ストレッチや軽めの運動も赤ちゃんのお世話の間に行います。
カフェイン含有量が多い食品・飲料
妊娠中に楽しんでいた飲み物が以下に含まれている場合、授乳中は控えめに楽しむようにしてください。
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- コーヒー(インスタント・エスプレッソも含む)
- 紅茶
- 緑茶
- エナジードリンク
- コーラ
- ココア
- チョコレート
ノンカフェイン飲料・カフェインレス飲料がオススメ
授乳期のママにおすすめの飲み物は、カフェインレス飲料やノンカフェイン飲料です。カフェインレス飲料はデカフェ飲料と同じで、カフェイン含有量を大幅に減らした飲み物です。ママと赤ちゃんに期待できるメリットとどのような飲み物があるかを紹介します。
カフェインレス飲料・ノンカフェイン飲料のメリット
カフェインレスコーヒーは、コーヒーに期待されるリラックス効果を得つつ、カフェインの摂取量を抑えられる体に優しい飲み物です。ノンカフェイン飲料の麦茶やたんぽぽコーヒーは、カフェインを含まないだけでなく、授乳期のママと赤ちゃんに嬉しい成分を含んでいます。
特にたんぽぽコーヒーは、鉄分やミネラルを豊富に含むので、授乳期に最適な飲み物です。
栄養豊富で赤ちゃんにも優しい飲み物
カフェインが少ない、または含まれていない栄養豊富な以下の飲み物は、授乳期のママもカフェインの摂りすぎを気にせず楽しめます。
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- 麦茶
- たんぽぽコーヒー
- 豆乳
- ハーブティー
- 青汁
- 甘酒
- そば茶
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ただしハーブティーの中には、母乳分泌を抑える働きがあると言われるセージなど、授乳期に向かないものもあります。ママや赤ちゃんの状況に合ったハーブティーを選びましょう。
(まとめ)カフェインを摂りすぎたときの緊急対策と赤ちゃんへの影響回避法
母乳を介したカフェインの影響を最小限に抑えるには、次の授乳まで2時間以上あけましょう
母乳はママの血液から作られるので、母乳にもカフェインが含まれています。妊娠中ほどママの摂ったカフェインが、直接赤ちゃんの成長に影響するわけではありませんが、できる限りカフェインを摂る量は控えてください。
1日あたりコーヒー2杯までであれば問題ないと言われています。赤ちゃんは大人よりも肝臓機能が未熟なため、カフェインの影響は大人よりも長く続きやすいです。赤ちゃんの寝つきをよくし健康に成長するためにも、授乳期のカフェイン摂取量は控えめにしましょう。