母乳だけで水分補給ができるのは1~2歳くらいまでです
親世代の常識は、赤ちゃんには母乳以外にも湯冷ましをあげて水分補給させること。
それに対して現代では、赤ちゃんは母乳だけで十分に水分補給ができているといわれています。
ところで、母乳と湯冷ましはいつからいつまでが目安なのでしょうか?母乳は生後すぐから1~2歳までが目安。
湯冷ましは離乳食が始まるころからあげはじめ、1歳半~2歳ごろになって普通の食事ができるようになったらやめても大丈夫です。
いつまで母乳だけで水分補給させるかは人それぞれ
母乳は生後すぐから1~2歳まで、湯冷ましは生後5~6ヶ月から1歳半~2歳ごろまで、というのが目安ですが、赤ちゃんにはそれぞれ個性があり、成長の早さもさまざまです。
母乳や湯冷ましをいつまであげるかは、ほかの赤ちゃんと比較せず、個々の赤ちゃんに合わせて決めるのがよいでしょう。
母乳と湯冷ましをいつまであげるかを決めるために
湯冷ましは大人にとっても健康にいいので、「いつまで」という目安にこだわる必要はありませんが、母乳は断乳の時期があまりにも遅くなると問題も出てきます。
一般に、母乳の場合は赤ちゃんに歯が生え始める1歳ごろから、乳首を噛まれて痛いので自然とあげなくなることが多いです。
哺乳瓶の場合、前歯が生えそろう2歳ごろになると、歯並びが悪くなることが懸念されるのでやめさせる必要がでてきます。
さて、ここでは生後1年を目安に母乳をあげることの利点と、離乳食を始めたころから湯冷ましをあげることの利点について考えてみましょう。
それぞれがどの時期になぜ必要なのか分かれば、おのずとやめるタイミングもつかめてきます。
生後間もない赤ちゃんに母乳をあげる利点
お母さんが赤ちゃんに母乳をあげることにはたくさんの利点があります。
初乳にはタンパク質と抗体が多く含まれている
産後すぐに分泌される初乳は、黄色みがかった色をしており、タンパク質や糖質、抗体など、赤ちゃんが健康に育つのに必要な成分が含まれています。
赤ちゃんは初乳を飲むことで消化器官を正常に働かせることができるようになります。
免疫抗体が含まれている
母乳には免疫抗体グロブリンAが含まれていて、赤ちゃんの免疫機能が正常に働くようになるまでのあいだ、赤ちゃんを細菌やウイルスから保護します。
免疫グロブリンAは出産後10日から7.5ヶ月めごろまで高い濃度が保たれます。
母乳には600もの体にいい細菌が含まれている
昔は母乳には殺菌作用があると考えられていましたが、実際は有益な細菌が大量に含まれている、ヨーグルトのようなものであるということが分かっています。
赤ちゃんは母乳によって有益な菌を摂りいれることで丈夫に成長することができます。
母乳に含まれるカンナビノイドの役割
カンナビノイドは赤ちゃんの食欲を刺激して母乳をよく飲めるようにします。
同時に食欲を制御する働きもあり、飲み過ぎ、肥満を防いでくれるのです。
粉ミルクにはこの働きがないので、粉ミルクで育てられた赤ちゃんは肥満になりやすいという統計結果がでています。
その他、母乳をあげるとお母さんの体内でプロラクチンやオキシトシンといったホルモンが分泌され、母乳がもっと出やすくなります。
それに、赤ちゃんが乳首を吸うと、妊娠で伸びた子宮がもとのサイズに戻りやすくなります。
免疫グロブリンの値が高いのは7.5ヶ月目ごろまでなので、こうして考えると、出産直後から7.5ヶ月ごろまでの授乳が、赤ちゃんにとってもお母さんにとってもメリットが多いことが分かります。
離乳食が始まったころから湯冷ましをあげる利点
生後5~6か月めごろになって離乳食が始まると、これまで母乳で補われていた水分が補われなくなります。
そこで、湯冷ましなどの母乳以外のもので水分補給をする必要性が出てくるのです。
離乳食を食べるようになるまでは、母乳だけで十分だといわれています。
ふだん通り母乳をあげているのにもかかわらず、おしっこの量が極端に減った時には、母乳以外の湯冷ましなどで水分補給をしてもかまいませんが、基本的には母乳だけで水分補給できているといわれています。
ところで湯冷ましとは、お水を10分間沸騰させて徹底的に殺菌し、そのあと常温までさましたものです。
水道水で作る場合には、塩素で菌は死んでいるので、沸騰させる目的は殺菌ではなく、塩素を飛ばすことになります。
10分間沸騰させると塩素を飛ばすことができます。
もともと菌が取り除かれているピュアウォーターを使えばもっと安心ですね。
さて、湯冷ましは成人にとっても体にやさしいお水であるといえます。
ですから、赤ちゃんは何歳になっても湯冷ましを飲み続けていいのです。
ただ、水道水ではなく湯冷ましを飲ませる理由は、赤ちゃんはまだ抵抗力が低く、細菌などに弱かったり、塩素の刺激に体が耐えられなかったりするからです。
完全に断乳する1歳後半ごろまでには、赤ちゃんは普通の水が飲めるようになっているといわれています。
ひと昔前まで湯冷ましを飲ませることが当たり前だった理由
ちょうど今お母さんになっている人たちが赤ちゃんだったころ、粉ミルクが流行りはじめ、母乳だけで育てる人が少なくなりました。
粉ミルクは母乳よりも成分が濃いので、粉ミルクだけをあげていると赤ちゃんは水分不足になりやすかったのです。
そんなこともあり、産婦人科では出産したお母さんに、「ミルクをあげた後は湯冷ましを少し飲ませるように」と指導されていたのです。
最近では、粉ミルクも品質が高くなり、母乳に近くなっているので、それ以外に湯さましを飲ませる必要がなくなっているのです。
赤ちゃんにとって必要なものを必要な時期にあげよう
生後すぐから母乳を与えることは、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても利点が多いです。
母乳の状態は出産直後から日々変化し、赤ちゃんの健康な成長に必要な成分が多くなるようになっています。
これは神秘ですね。
母乳は短くても7.5ヶ月まで、できれば1年間を目安にあげたいものです。
母乳を飲んでいる間は、基本的にほかの飲み物を上げる必要はないでしょう。
離乳食が始まったら湯冷ましや薄く作った麦茶を与え、完全に離乳できれば大人と同じ飲み物を与えることができます。
赤ちゃんの成長に合わせて調整しましょう
母乳や湯冷ましを与える時期について考えてきましたが、赤ちゃんの成長はそれぞれです。
母乳の出かたや赤ちゃんの飲みっぷりもちがうでしょう。
母乳をやめる時期や湯冷ましを始める時期は、赤ちゃんの成長に合わせて調整しましょう。